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丹羽家の人々 ~冒頭から,その2~

数々の不祥事を繰り返してきた和馬社長の兄のことは、丹羽家の顧問弁護士である父から何度か聞いたことがある。
「確か、もう亡くなられているとか」
「はい。もう10年以上も前に肺がんを患われて。社長とは違って、お酒もたばこも何でもござれの派手な方でした。常務取締役に就任されたのは、私がこの会社にお世話になる少し前だったと聞いています。あまり大きな声では言えませんが、お父様から相続した莫大な遺産をギャンブルで使い果たしてしまって、やむなく社長が常務取締役の席を用意されたのだとか」
和馬おじさんらしいな、絵莉は思っている。
「何か、若い頃は音楽業界にいらしたとかで、最初にご挨拶した時、ひげ面の長髪に派手なTシャツ姿で、ちょっとびっくりしました。およそ不動産会社には似つかわしくないお姿でしたけど、よくよく見ると、やっぱりご兄弟だけあって目鼻立ちはよく似てらっしゃいます。やっぱり血は争えませんよね。あれ? 血は争えないって、兄弟の場合でも言うんだっけ?」
首をひねった百合香と顔を見合わせて、二人同時に吹き出していた。
「でもまあ、常務は殆ど出勤されることもありませんでしたから、社員たちもあまり関わらないようにしていました」
創業家一族の鼻つまみ、丹羽英世という存在がありありと思い浮かぶ。
「あの日、常務が訪ねて来られた時、社長は例の商工会議所のシンポジウムで都心にお出掛けでした。常務は、昨日、社長とラウンドした帰り、車にサングラスを置き忘れたとおっしゃって」
「へえ。ご兄弟でゴルフ。お二人だけで?」
「ええ、確かに手帳には、8月31日常務と多摩国際カントリークラブというメモがありました。そういえば、常務がゴルフをやってみたいって言うから付き合うことになったよって、社長、何だかうれしそうにおっしゃっていました」
──うれしそうに? 
親も家もないがしろにしてきた兄が、相続した巨額の財産を根こそぎ使い果たして弟の情けにすがって暮らしている。丹羽家の当主からすれば到底赦すことのできない所業だが、それでもこの世で二人っきりの兄弟だ。和馬社長にとって、兄はかけがえのない存在だったのだろう。
「初心者だから迷惑かけないように、ゴルフ場に頼んで平日二人だけで回れるように手配されたみたいです。でも、あの日、社長はお昼前には会社にお帰りになっています。とてもコースに出るようなレベルではなくて、ゴルフにならないからハーフだけで切り上げたんだそうです。結局キャディさんにはワンラウンド分以上走り回らせちゃったよって笑っておられました」
そうですかとうなずきながらも、百合香が何を言おうとしているのか、絵莉には話の行き先がまだ見えてこない。
「で、その翌日、お兄様が忘れたサングラスを取りに来られたんですね」 
「そうなんです。では、車までご一緒しますと申し上げたんですが、なあにほんの2・3分で済むことだからっておっしゃって。ですから、お車のキーをお渡ししたんです」
「それで? キーはすぐに戻されたんですか?」
「すぐにサングラス姿で戻って来られて、やっぱりサンバイザーに引っ掛けたままだったよって。本当にほんの数分ほどのことでした」
 絵莉の胸に膨らみかけていた興味が急速にしぼむ。
「その日、社長は帝国ホテルから直接帰宅されましたので、キーをお貸ししたことは翌日ご報告しておきました。ゴルフの帰り途、常務は棒ふりなんてもう二度とごめんだって言ってたけど、そりゃゴルフ場の側のセリフだよなって苦笑いされてました」
「英世さんが大変な不祥事を起こされた後も、ご兄弟の関係は決して悪くなかったんですね。確かにちょっと微笑ましいエピソードかとは思いますが。そのことが何か?」
問われた百合香が首をひねる。
「いえ、何かというわけではないんです。ただ、問題の日の前後で普段と変わったことがあったら一応ご報告しておこうと思いまして」
なるほどそうでしたか、とは言ったものの、絵莉にはその出来事と虚偽の認知届とがつながるとは思えなかった。

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百合香とて、実のところは似たようなものだった。手帳のメモを見直しながら当時の記憶を一日一日じっくりと辿ってみた時、何かしら引っ掛かったのはこの出来事ぐらいしかなかった。それにしても、社長の兄が、ほんの数分間車のキーを手にしただけのことである。そもそも、社長の愛車を使って一体何ができるというのか。その疑念の正体を突き詰めようとすると、考える先から思念がモザイクの粒々となって手のひらからこぼれ落ちていく。そんな有様だった。
百合香は、サーバーから淹れたコーヒーを持って秘書席に戻った。ブラックコーヒーの香りが鼻腔に心地よい。
  15年前と言えば、ちょうど丹羽地所にアルバイトで勤め始めたばかりの頃だ。この本社ビルも、駿介が将来の社長含みで丹羽地所に迎えられることが決まって竣工したばかり。学生アルバイトとはいえ、真新しいオフィスに社長秘書として出勤するのはとても誇らしかったっけ。
当時のことを思い出しながら、百合香は考えを巡らせる。
  たかだか車のキーのことが、どうして気になるんだろう。ほんの数分貸しただけのことなのに。常務がスペアキーでも作ったとか? 無理無理。たった2・3分でできるはずがない。そもそも、何のために? 
──でも。もしかしたら‥‥。
百合香は、立ち上がって社長室のドアをノックした。
「百合香さん、どうした?」
「社長、つかぬことをおうかがいしますが、アストンマーチンのスペアキーというのは簡単にできるものなんでしょうか?」
「おいおい、藪から棒に何だ?」
「いえ、絵莉先生と話をしてて、ちょっと気になることがあったものですから」
「そうか。スペアキーなら私も作ったことがあるんだが、アストンマーチンは、名車だけあってやたらにセキュリティがしっかりしててね」
車の話になると、和馬は途端に饒舌になる。
「今のリモコンキーになる以前から、たかだかスペアキーのためにわざわざディーラーに車を持ち込まなきゃいけなかったんだよ。ペアリングって言って、工場で新しいキーを車両本体に認識させて同期させるシステムになってるんだ。まあ、面倒な分安心なんだがね」
百合香の表情が徐々に沈み込むのにも気付かず和馬は続けた。
「ペアリングを済ませていない合鍵を差し込もうもんなら、けたたましい警報音が鳴り響くから車泥棒も車上荒らしもまず不可能らしい」
普段、車になどまったく興味を示さない秘書に長広舌を振るっていた和馬が、ふと我に返る。
「どうしてまたそんなこと聞くのかね」
「いえ、私の思い過ごしだったようです。ちょっとでも気になることは、とりあえず確認して下さいって、絵莉先生から念を押されたもんですから」
和馬がいぶかし気に頷く。
「そういえば、社長。亡くなられた常務、お車はお好きでしたか?」
「いや、兄は音楽一辺倒だったから車なんてまったく興味なかったよ。確か運転免許も持ってなかったんじゃないかな」
免許もなかった‥‥。やっぱり思い過ごしだったのか。
「そうですか。社長、お時間取らせて申し訳ありませんでした」
「百合香さん」
出て行こうとする百合香を、和馬が呼び止めた。
「あなたには、変なトラブルに巻き込んでしまって申し訳なく思ってる。養子縁組の件も、ご両親とはじっくりとお話しして了解して下さってるんだが、あなた自身、何か納得できないようなことはないだろうか」
「いえ。駿介さんの遺志を継ぐんだと思えば、それだけで力が湧いてくる気がします。恭介が一人前になってくれるまで、何としてでも丹羽家と会社を盛り立てて行く。その覚悟はできています」
慎ましげな顔に決意の色が見えていた。
「恭介はまだ5歳だ。先は長いぞ」
「社長にご指導頂けるなら、精一杯、努力は惜しまない積りです」
和馬が微笑みながら頷いた。

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「お帰りなさい」
事務所のドアを押した絵莉に秘書の麻乃が声を掛ける。
「和馬の件、何か進展はあったか?」
ソファでのんびりとコーヒーを飲んでいた由紀夫が尋ねた。向かい側に腰を下ろしながら絵莉が答える。
「内容証明にはまだ反応なし。松尾リサーチの調査報告で本間親子の実像はおおよそ見えてきたとはいえ、認知無効のエビデンス探しは手詰まり状態。今日も丹羽地所まで行って、認知届当時に何か思い当たることがないかって確認したんだけど‥‥」
絵莉が大袈裟に肩をすくめる。
「前途多難だな」
何とも緊張感を欠く父の顔を見ながら、ふと思いついて絵莉が尋ねる。
「父さん、アストンマーチンって知ってる」
「和馬の愛車だろ。大学時代、映画の007のボンド・カーに一目ぼれしたんだ。以来、あいつアストンマーチン以外眼中にない」
「へーえ、そうなんだ。 007、ジェームス・ボンドか。ねえねえ、そう言えば和馬おじさんって、ちょっとショーン・コネリーに感じが似てない?」
ああ、確かに言われてみれば、と口をはさんだのは秘書席の麻乃である。
「丹羽地所の社長さん、誰かにイメージが似てると思ったのよ。そうそう、ショーン・コネリーだわ」
「でしょ。和馬おじさん、顔立ちは純和風なんだけど、どことなく雰囲気が似てるんだよね」
「そう、あの頭の禿げ具合なんかそっくりよねえ」
「ひどぉい。でも、あんなかっこいいスキンヘッドはそういないよ」
「ちょっとお前たち、一体何の話してるんだ」
とめどがない会話を、由紀夫がやっとのことでせき止める。それをしおに、実はね、と言いながら、絵莉が百合香から聞いた車のキーのエピソードをかいつまんで話し始めた。
「じゃあ、百合香さんは社長の亡くなったお兄さんのことを何か疑ってるんですか?」
また麻乃が奥の席から割り込んできた。
「麻乃さんは、何食わぬ顔で全部話を聞いてるんだよなあ」
「はい。業務は完璧にこなしつつ、事件に関するお話はすべて聞かせて頂いてます」
やれやれ、と由紀夫がつぶやく。
このベテラン秘書は、既にこの事件の概要を把握しているようだ。マルチタスクは女の特技というのが口癖だけに、事務処理作業中でもその目と耳からは種々雑多な情報が次々とインプットされているらしい。
「車のキーと今回の件がどう関わるのかよく分かんないんだけど、何だか引っかかるらしいの」
「女の第六感ってやつか」
由紀夫の陳腐な感想にあきれたように首を横に振り振り、麻乃がソファの傍にパイプ椅子を置いて座り込んだ。
「顧問は、確か社長のお兄さんとも幼なじみなんですよね」
代表の座を絵莉に譲ってから、秘書は、由紀夫を顧問、絵莉を先生と呼んでいる。
「ああ、俺たちの3学年上だったかな。終戦で新制の小学校に入学した頃からかな、丹羽家に行く度に英あんちゃんって呼んで和馬と一緒によく遊んでもらった。絵莉も、子どもの頃に行ったことあるから覚えてるだろうが、丹羽家のお屋敷は古くてやたらにでかいだろ。俺たちはまだわけも分からないガキだったし、戦中戦後の頃だから片付けも手入れも行き届いてなかったからとにかく不気味でさ。何しろ薄暗いし、廊下と階段が入り組んでて行っても行っても果てしない迷路みたいだし」
「確かに、あのおうち、何だかちょっと得体が知れないみたいな感じはあったかな」
「あの頃は、母屋の裏に渡り廊下でつながった離れがいくつかあって、空襲で焼け出された親戚筋の人たちが何家族も暮らしてたみたいでな。離れの縁側に着物姿のおばあ様がひっそり座って笑いかけてきた時には、悲鳴を上げて逃げたもんだ。幽霊か妖怪にでも見えたんだろうが、我ながらまったく失礼な話だよ。探検気分で奥の間をのぞいてみたら、閻魔様の掛け軸が掛かってたり、般若だとか能面だとかが壁一面に飾ってあったりで、まあ怖かったのなんのって」
「へーえ。ワンダーランドみたいじゃないですか」
「なんだか楽しそうよね」
女たちが勝手な感想を漏らす。
「冗談じゃない。悪ガキが大勢集まった時には、数を頼りに恐る恐る肝試しみたいなことやったこともあるけど、普段はとてもとても。そうそう、離れの逆側にはちょっと離れて土蔵が並んでたんだけど、これがまた薄暗くて化け物屋敷みたいでな。英あんちゃんも和馬も、悪さする度にお仕置きで閉じ込められるって言うんだよ。それ聞いた時には、このうちに生まれなくてよかったって心底思ったよ。今なら、完全に児童虐待だな」
どうやら思い出話は尽きそうもない。
「父さん。お子様時代の話はまた今度聞かせてもらうから、英世さんのこと教えてよ」
「中学に入った頃からかなあ。英世さんはジャズだのカントリーだの進駐軍系の音楽に夢中になって、親父さんにねだって買い込んだレコードを一日中電蓄で聞いてたよ。もちろん、俺たちみたいなガキなんかもう全然相手にしてくれない。それからしばらくして、ロカビリーって和製ロックが大ブームになって、いよいよ手が付けられなくなっちまってな。突然高校を中退して、家出同然で音楽業界に飛び込んだのさ。親父さん怒り狂っちゃって、兄さんに憧れてた和馬はもうすっかりしょげ返ってたなあ」
その後、大学を卒業した和馬が丹羽地所に入社して先代登史郎の後継としての地歩を着実に固める中、由紀夫も若くして丹羽家と丹羽地所双方の顧問弁護士として招かれた。この間、和馬と英世の兄弟はほとんど音信不通だったと聞いている。
ただ、兄が事あるごとに、母の文子に金の無心に来ていたことに和馬は薄々気付いていた。半分ため息をつきながらも、母が漏らす言葉の端々からは、少しでも出来の悪い息子の力になってやれることを喜んでいるフシもうかがえた。母親というものは有難いものだと、そして、ああ見えて父親だって黙認していたはずだと和馬が苦笑いしていたのを由紀夫はよく覚えている。
英世と和馬が久しぶりに正面切って顔を合わせたのは、父登史郎の通夜の席だった。昭和から平成へと年号が変わったこの年、兄弟はともに五十の坂を越えていた。派手な業界で自由気ままに生きてきた兄と、丹羽家の後継者として累代の資産を運用する会社経営に精力を傾ける実直な弟。片や長髪のひげ面で、柄物シャツに形ばかりの黒ネクタイを締めた業界人、片や地元指折りの名士を弔う式典を粛々と取り仕切る喪主。数十年という月日を経て、兄弟は好対照というしかない姿で遺族席に並んでいた。
その後、登史郎の遺志によって遺言執行者に指名された由紀夫は、四十九日の法要と納骨を終えた時点で、相続人である英世と和馬の兄弟と向かい合うことになる。

仁義なき戦い(完結編)に見る日本経済再生への道

お待たせしましたっ! ついに「仁義なき戦い」の登場です。但し、ちょっとおまけの様な「完結編」です。全5作の中で私が好きなのは「広島死闘編」と「頂上作戦」なのですが、これを書いてしまうと28ページを遥かに超過する大作になりそうで「娘の夫の長い文書」の様に「あれを読んでどれくらいの人が理解できるか」とやんごとない方から不評をかってしまいそうなので、今回は「完結編」を手短に纏めたいと思います。

さて、例によってあらすじから・・・
第4作「頂上作戦」での山守組と打本会・広能組連合との抗争は、双方の幹部の一斉検挙により表向きは終息した。打本会は解散し広能組組長の広能昌三(菅原文太)は網走刑務所に収監される。

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同時に逮捕された山森組幹部武田明(小林旭)は広能よりも先に出所し、暴力団に対する市民社会からの批判をかわすために政治結社「天政会」を結成し、広島の暴力団の取り纏めを図った。とは言え、従来の暴力団組織では最早やっていけないとする知性派の武田と、旧来からの武闘派である副会長の大友勝利(宍戸錠)や早川秀男(織本純吉)とはそりが合わず、会は決して一枚岩ではなかった。同じく武闘派の江田省三(山城新伍)は、武田には頭が上がらないと思ったのか、武田側に留まった。この様な状況の中、天政会に反旗を翻す広能の兄弟分の市岡輝吉(松方弘樹)が、天政会幹部の杉田佐吉(鈴木康弘)を殺害する。この事件への対応について、武田と大友は真っ向から対立する。

そんな中、武田が県警に逮捕されたため、松村保(北大路欣也)が会長となるが、これを良しとしない大友は松村の殺害を企てるが失敗に終わる。これを機に松村と大友の中は決定的になり、大友はなんと仇敵であったはずの市岡と義兄弟の盃を交わす。これに怒った松村は市岡を殺害、大友は県警に逮捕されてしまう。また、早川は引退に追いこまれる。更に、広能が服役で留守の間に広能組の組員が槇原組長の槇原政吉(田中邦衛)を射殺する。と言うことで、一旦平穏に戻ったかに見えた広島はまたもや抗争の場になってしまう。

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そうこうする内に武田が出所し、松村は会長の座を武田に譲るが、出所してくる広能への対応を巡って、武田と松村の意見が対立。武田は広能とは以前より抗争の相手であったが、個人的には広能を評価しており何とか穏便にしたいと考えており、広能の出所に際して出迎えに行く。武田は広能に引退を迫るが、広能はこれを拒絶する。松村以下多数は広能に対して強硬な措置を主張しており、結果として武田は天政会の中で孤立し引退を余儀なくされて、松村が再び会長となる。松村は、反松村派が広能を担いで勢力を拡大することを懸念し、広能組の組員を天政会で面倒を見ることを条件に広能に引退を迫った。

松村は会長就任のあいさつ回りのために大阪に出向いた際に、早川組組員から襲撃される。側近の江田は死亡し、松村は瀕死の重傷を負う。松村はそんな状態にもかかわらず会長襲名披露を無事に成し遂げる。広能は表舞台から去ることを決め、組員を天政会に預けることに同意し引退する。
そこに広能組の天政会参加を知った槇原組組員が広能組の若手を襲撃して死亡させ、新たな抗争が始まる。広能は自身が若かった頃の暴走行為を今は若い者がやっており、それを抑制できなくなったことに時代を感じるのであった。

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とまぁ、相変わらず抗争と暴力全開の映画です。仁義なき戦い全編に言えることですが、出演しているキャストの顔ぶれの豪華なこと!第4作の頂上作戦以前までは、このメンバーに加えて、梅宮辰夫(明石組 岩井信一他)、成田樹夫(松永弘)、千葉真一(若い時の大友勝利)、小池朝雄(義西会 岡島友次等)等、一流スターたちが目白押しです。
一方、高倉健、鶴田浩二、池辺良、安部徹など仁義・任侠系のベテランスター達は出演しておらず、仁義なき戦いシリーズによって東映のやくざ路線が大きく変貌を遂げたといえるでしょう。
尚、ついでですが、天政会の本部は京都の五条大橋の西側のバイク専門店「ドリームロード」、天政会が行進するのは堀川通です。また、太秦の河端病院は何度も登場していますが、残念ながら3年ほど前に移転し、現在は駐車場になっています。
その中で、この完結編は広能、武田、大友などそれまでの主人公たちが現役を引退、江田、槇原が殺害され、松村の様な若手にとって代わられる展開となっており、過去の4作に比べると時代の変遷と言うかどこか物寂しさが漂っています。
とは言え、見どころは満載です。市岡の狂気に満ちた目付き※、梅毒に侵されて正常な判断が出来なくなった大友のハチャメチャな行動(尤も、広島死闘編での千葉真一が演ずる大友※※も相当常軌を逸していましたが)、武田から一緒に飲もうと誘われて「そっちとは飲まん。死んだもんにすまんけぇのぉ」と言う広能のカッコよさ等、書き出せばきりがないのですが、それにしても重症の中会長襲名披露を勤め上げる松村にはド迫力があり、若干疲れの見えた武田や広能との世代交代を強く印象付けています。

そんな中で、ここでは大友勝利の名言(珍言)にスポットを当てたいと思います。大友が泥酔して市岡に対して発する「牛のクソにも段々があるんで」というものです。目まぐるしく展開するストーリーについて行けない観客もこのセリフには圧倒されて忘れることが出来ずに映画館を後にしたのではないかと思います。
この意味するところですが「物事には配列や順序がある」と言う、大友にしては意外にまともな発言でした。ビジネスの現場においては、重要な交渉の席に部長を同伴して出向いたところ、相手企業の出席者が係長レベルだった時や、相手側が打合せの冒頭からいきなり無理な要求を切り出した時などに使って頂きたい言葉です。※※※
尚、筆者が小学生だった昭和40年頃は、まだ牛を飼っている農家があり、通学路に牛の糞が落ちており、確かに段々がありました。誤って牛の糞を踏んづけると笑い者にされると言われて気を付けて歩いたものです。

さて、ここで牛のクソに言及するのは大きな理由があります。それは、バブル崩壊後の日本経済の低迷の大きな要因となっているからです。今更ですが、日本経済の低迷はイノベーションの欠落と生産性の低さに起因します。ちなみに日本の生産性はG7の中の最下位で、米国の60%程度だそうです。

米国の経済学者であるDavid Graeberは無意味で不必要で有害であるにも関わらず給与が支払われている業務を”Bullshit Jobs”(牛のクソ業務)としています。彼によると、Bullshit業務は以下に分類されます;

① 誰かに偉そうな気分を味合わせるためだけの取り巻き
例:受付係
② 雇用主のために他人を脅迫したり欺いたりする脅し屋
 例:ロビイスト、顧問弁護士
③ 誰かの欠陥を取り繕う尻ぬぐい
 例:バグだらけのコードを修正するプログラマー
④ 誰も読まない書類を延々と作成する書類穴埋め人
 例:コンサルタント
⑤ 人に仕事を割り振るだけの中間管理職

如何でしょうか? 日本企業の典型的な問題点を指摘されているような気がしてなりません。

③はあまりピンと来ないですが、②は何となく判る様な気がします。①、④、⑤は、ホントにそのものずばりですね。
①については、確かにアポイント先でステキなお嬢さんに「いらっしゃいませ。お待ちしておりました」と言われると気分が悪い筈はないですが・・。
もっと大きな問題は会議だと思います。偉い人は自身が招集する会議に多数を出席させ、自身の考えを延々と披露するのを好みます。これで自身の力を誇示しているんでしょうね。勿論、急用(や休養)で欠席すると怒りまくるので、無駄と思いつつも出席せざるを得ません。でも、自分の考えなんかは前の晩にメールで配信すれば事足りるので、会議では本当に話し合うべきことだけを要領よく議論し、決めればそれで済みます。こうやって、本来付加価値を生み出すべき社員の時間が無駄にされてしまいます。 
④については稟議に諮る資料です。役員クラスは目が悪くなって、また、終日多数の決裁事項に疲れているので、「・・・で、どういうことなんだ?」だけで判断して、多数の部下が徹夜状態で作成した細かい資料まで見てないのではないかと思われます。
尚、この④については我々コンサルタントも反省すべき点は大いにあります。コンサルタントは月額で報酬を貰うわけですから、見合うだけの仕事がなければ契約解除か報酬減額になります。そこで、そうならない様に、本来1ページで事足りる内容なのに資料を10ページにも膨らませて、仕事をやっている感を出す傾向にあります。企業の皆さん、コンサルタントには十分気を付けてくださいね。あっ、私は決してそんなことはしませんから安心してご依頼ください。
⑤については、日本ではおなじみの中間管理職の皆さんです。部長代理さん、次長さんは自分の仕事が何かの役に立っているか、真剣に考えてみたほうが良いのでは???
これについては、「八甲田山と組織の統制について」(2020年7月)で詳しく述べていますので、ぜひご一読を。

映画「八甲田山」と組織統制

と、またまた長くなってしまいましたが、日本経済は牛のクソ仕事に時間や賃金を費やしているような余裕はもはやありません。特に問題は、この様な仕事の従事者の多くがホワイトカラーで比較的高い賃金を享受していることです。これを実際の生産活動に従事し付加価値の創造に貢献している従業員に配分することで、公正な分配と格差の是正になるのではと愚考する次第です。

と言うところで、最後はクソを題材にした歌謡曲を探してみました。有名な曲しか思い浮かばなかったのですが、先ずは吉永小百合さんの「奈良の春日野」の「ふんふんふん、黒豆や♪」です。これは、昭和40年に発売された「天満橋から」のB面で、昭和62年に明石家さんまがオレたちひょうきん族で紹介したことより大きな話題となりました。「天満橋から」は同年の紅白で可憐な振り袖姿で歌っていましたが、こちらも歌詞は何を言いたいのか判らず意味不明です。作詞した佐伯孝夫さんは「いつでも夢を」や「有楽町で逢いましょう」などの大作詞家ですが、ときおりおちゃめな曲を手掛けられていたようです※※※※。

もう一つは、これも有名なダウンタウンブギウギバンドの「スモーキン・ブギ」(昭和50年)ですが、当時の大アイドルであった山口百恵さんがテレビで「クソして一服」と歌っていたのが印象的でした。

※ 松方弘樹は、仁義なき戦いシリーズに三回、それぞれ異なる役で出演しており、全てにおいて殺害されています。第1作の子供のためにと立ち寄る玩具屋で射殺される坂井鉄也が最も高い評価を受けているようですが、本作の市岡の狂気の目つきにも強く引き付けられます。

※※ 千葉真一演じる「広島死闘編」での大友勝利は兎に角ハチャメチャなのですが、彼の発言の中には映画を見たもの全員の脳裏から離れない言葉があります。・・が、それをここに書いてしまうと倫理上の問題からこのコラムが公開禁止になりそうなので、残念ながらご紹介できません。ご興味のある方は、ぜひ、ビデオで確認してみてください。

※※※ これと並ぶ印象深い言葉に、「頂上作戦」でげんこつラッパ先生(義西会会長岡島友次の小学校時代の恩師)が、昔の生徒たちに持ち上げられた際に照れて発する「顔に電気がつくわい」があります。これは、部下や取引先から「さすが、課長。お目が高いですね!」とか褒められた時に使用したいものです。

※※※※ 佐伯孝夫センセイがGSに提供した曲にはザ・ジャイアンツの「スケート野郎」ザ・ジャイアンツ – スケート野郎 – ニコニコ動画 (nicovideo.jp) があります。ザ・ジャイアンツは「ケメコの唄」を発表しましたが、ザ・ダーツの同じ曲が大ヒットしたのに対して全く話題にならなかった泡沫GSです。

                                  

                                   (2022年1月)

「緋牡丹博徒」お竜はジェンダーギャップを乗り越えたのか?

今回は、「緋牡丹博徒お竜参上」(1970年公開)をお届けします。緋牡丹博徒シリーズ全8作のうち6作目で、監督は加藤泰。シリーズ最高傑作として名高い作品です。

では、例によってあらすじから。
緋牡丹のお竜さんこと矢野竜子(藤純子)は、故あって知り合った盲目の少女おきみの目の治療費を用立てる。治療後、おきみとの再会を約するが、渡世上のやむを得ない業務により、再会できないまま離れ離れになる。
その数年後、お竜さんは、浅草の鉄砲久親分(嵐寛十郎)一家の客人として世話になっている。鉄砲久は東京座と言う演芸場の運営に携わっている。東京座の来客がスリの被害を受け、鉄砲久一家が捕らえた犯人は、おきみであった。おきみとの再会を喜ぶお竜さん。そこに、おきみを慕って後をつけてきた銀次(長谷川明男)も同席した。銀次は、鉄砲久のライバルである鮫洲政五郎(安部徹)一家のやくざ者であった。銀次は、鉄砲久におきみと結婚したい旨を伝え、鮫洲との間で友好関係を望む鉄砲久は、おきみを養女とし両家を親戚関係にしようとした。


鉄砲久の養女となり住み込んだおきみは、鮫洲政五郎の命を受けた銀次の指示に従い、東京座の実印と権利書を持ち出した。これを取り戻すために鮫洲一家に乗り込んだお竜さんは、サイコロ勝負を挑み、相手のいかさまを見破って、実印と権利証を取り戻す。
流れ者の青山常次郎(菅原文太)は、お竜さんと賭場での知り合いであった。青山は女郎屋に売られた妹を取り戻そうとするが、妹は既に死んでいた。その過程で西尾と言う男を斬ってしまうが、西尾が鮫洲の兄弟分であったことより、鮫洲に命を狙われる。青山は、東京座の芝居監督である佐藤と親しいことより、一時的に鉄砲久に身を寄せるが、妹の納骨のために故郷の岩手県に帰省する。
帰省の前に、雪の降る中で、青山とお竜さんは互いの別れを惜しみ、お竜さんが青山に汽車の中で食べる様にと弁当を渡す際に落とした蜜柑をお竜さんが雪で拭って青山に渡す場面は緋牡丹博徒シリーズきっての名場面と言われている。
芝居監督である佐藤は女優のお留の才能を見限り、おきみを主演女優に抜擢する。面白くないお留は、屋台で酔ったところを鮫洲一家の鯖江(名和宏)にそそのかされ、佐藤との打合せと偽って鉄砲久を一人で連れ出す。そこを鮫洲一家が襲って鉄砲久を殺害する。喜三郎ほか残った鉄砲久の一党は報復を主張するが、鉄砲久親分の遺言に従って思いとどまる。
その後、両家の手打ちの場所が設けられるが、立会人の金井(天津敏)が手打ちの条件として、東京座の運営権を鮫洲一家に移管することを提案する。これに怒った鉄砲久一家との間で揉み合いになるが、突如出現したお竜さんを慕う熊坂寅吉(若山富三郎)の手助けにより、運営権は鉄砲久の元に留まり、鮫洲は指を詰める。
次に、鮫洲はおきみと佐藤を攫って拷問にかける。おきみを慕う銀次はこれに耐えかねて親分の鮫洲に襲い掛かるが、逆に殺されてしまう。おきみを人質にして、東京座の実印と権利証を差し出す様に要求する。主のいない鉄砲久一家は、已む無しとしてこれに応じようとするが、そこにお竜さんが乗り込み実印と権利証を奪い返す。
そこで、鮫洲はお竜さんに一対一の果し合いを申込み、お竜さんはこれを承諾する。
決闘の直前になぜか岩手県から戻ってきた青山が現れ、立会人として同行する。
果し合いに向かう二人をバックにおなじみの緋牡丹博徒の唄(娘盛りを渡世にかけて~♬)が流れる。
一対一の果し合いのはずが、鮫洲には鯖江他多数の子分を同行させてこれを一人一人となぎ倒していくお竜さんと青山。お竜さんは脇差とピストルさらには髪にかざした簪を投げて戦う。そこで、ひらりとほどけるお竜さんの長い髪がとても美しい。
最後に予定通り、お竜さんが鮫洲を仕留めて戦いは終わる。青山は、お竜さんにおきみの傍についてやる様に伝えて警察に自首する。

本作品の見どころは、憎々しい鮫洲をお竜さんがやっつける痛快さは勿論ですが、随所に見られる名セリフも印象深いものがあります。
例えば、
1)お竜さんと鮫洲政五郎が花札勝負をする場面でのやり取り:
  「ところで、お竜さん。お前さんは何を賭けるんだい」
  「命ばい」
2)お竜さんが銀次に堅気になるよう勧める場面でのお竜さん:
  「やくざ者は女をしあわせにできんとよ」
3)おきみとの結婚を迷う銀次に対してのお竜さん:
  「女の幸せは好きな人と沿い遂ぐこつ、それしかなかよ。きみちゃんはあんたとの幸せに命ば賭けとる」
4)お竜さんが鮫洲からの果し合いの申し出に応える場面;
  「そんでよう侠客の看板がかけてられますねぇ。どぎゃんしてもやると言うなら一対一できんさい。」

とまぁ、書き出せばきりがありませんが、そろそろ本題に。
ジェンダーレスについては、1986年男女雇用機会均等法成立を機に謳われてきましたが、特にここ数年非常に注目を浴びる様になりました。単なる人権の観点だけでなく、少子高齢化・人口減少の中、男性中心社会の行き詰り、女性中心の消費動向への変化、出産・育児などによって埋もれてしまっている女性の能力の活用など経済活性化の観点からも、当然の動きと言えましょう。
その様な動きの中、嘗ての男性中心の会社から実際に消費の主導を握っている女性の登用は必然的な流れであり、新卒や管理職における女性比率の向上を進める大手企業が増加しています。
その一方で、大手企業においては女性役員の数はまだ少ないのが現状であり、社内で自身のキャリア形成を如何に行うか、戸惑っている若手女性社員も少なくないと思われます。
そこで、各企業はロールモデルの活用により女性社員のキャリア形成の支援を図っています。
ロールモデルとは、社会学者のR.K.マートンが提唱したもので、その行動、模範、または成功が他の人、特に若い人たちによって模倣されている、または模倣される可能性がある人のことです。若手女子社員は、対象となるロールモデルの人物を参考に自身のキャリア形成を描くこととなります。
お竜さんは、典型的な男性中心のやくざ社会において、男性の親分衆に対して一歩も引けを取らず渡り合う稀有な存在です。大手企業に置き換えると、男勝りの活躍と功績によって役員にまで上り詰めた存在と言えましょう。では、お竜さんはロールモデルになり得るのでしょうか?
企業が女性の登用を意識した初期段階においては、この様な女性を意図的に登用して、ロールモデルとして登用しようとしていましたが、多数の若手女子社員にとって模倣の対象にならなかった様です。
この理由は、企業側としては男性中心の仕組みを変えるのではなく、特定の女性を男性社会に組み込もうとしたこと、当の女性にとっては業務と個人生活の両立を推進するものではなかったからだと思われます。
これに対して、現在求められているのは、男性中心の仕組みを改め、両立を可能にする体制の構築です。即ち、ジェンダーに関係なく業務と個人生活を両立しながら活躍している人間こそがロールモデルになり得る訳で、その意味では残念ながらお竜さんをロールモデルと考える女性社員は少ないと思われます。
一方で、両立を見事に果たしている事例は、子連れ狼の拝一刀(映画では、若山富三郎、萬屋錦之介などが主演)でしょう。拝は柳生一族に妻を殺害されたため、当時三歳の大五郎の育児をしながら殺人請負い業務を遂行しており、正に両立を果たしています。
今の時代でもさすがに男やもめになりたいと希望する者はいないにしても、奥さんが単身で海外駐在すると言ったケースが出てくることはあり得るので、今後、拝をロールモデルとしたい若手社員出てくる可能性は十分にあるかと思います。
この様に50年も前の1970年代初頭に、女性・男性それぞれに新しい生き方の原型が現れたことは単なる偶然とは思えず興味深いものがあります。異国フランスにおいても「ベルサイユのばら」のオスカル(Oscar François de Jarjayes)のジェンダーレスの生き方が話題になりました。
いずれにしても多様化の時代、色んな生き方を尊重する社会になりつつあることは喜ばしいと思います。

さて、藤純子の楽曲についてですが、私の知る限り全て映画のテーマ曲で、緋牡丹博徒をはじめとして「女渡世人(同名映画)」「おんなの命(映画は、日本女侠伝)」の3作となります。勿論、GS色はありません。
「子連れ狼」については橋幸夫で大ヒットしたのは記憶に新しいところです。橋はデビュー以来初期の楽曲の殆どは吉田正の作品ですが、1966年の「雨の中の二人」「霧氷」(作曲はいずれも利根一郎)を皮切りに吉田正以外の作品を積極的に手掛ける様になりました。1967年にはGSブームに乗って鈴木邦彦の「そばにいておくれ」「若者の子守歌」、1968年にはすぎやまこういちの「思い出のカテリーナ」「雨のロマン」、1969年には歌謡ポップス時代となり筒美京平の「京都神戸銀座」、「東京-パリ」等のヒットを飛ばしています。その後、数年の鳴かず飛ばず時代を経て、1972年の「子連れ狼は」吉田正作品の久しぶりの大ヒットとなりました。
その後の橋は、「帰ってきた潮来笠」、「股旅グラフィティさらば渡り鳥」、「股旅78」と、どこまで真面目なのか判らない曲を連発していますが、勿論、ヒットはしていません。尚、「股旅78」は作曲がブルーコメッツの井上忠夫と言うこともあり、軽快なポップ調の楽曲ですが、歌詞とのミスマッチに結構笑えます。

「七つの会議」・・・・不祥事は組織の宿命なのか?

ゴールデンウィークですが緊急事態宣言下、外出もままならず暇に任せて新作をお届けします。今回は、池井戸潤の小説を映画化した「七つの会議」(2019年公開)を取り上げます。先ずはあらすじから。

東京建電は日本有数の電機メーカー「ゼノックス」の子会社で、金属器具の製造・販売を主な業務としている。主なメンバーは、社長の宮野(橋爪功)、ゼノックスから出向中の副社長の村西(世良公則)、出世が全ての営業部長の北川(香川照之)、営業一課長の坂戸(片岡愛之助)、営業二課長の原島(及川光博)である。また、営業一課には、北川の同期でぐうたら社員の八角(野村萬斎)が所属している。 クリックして続きを読む

「キングコング対ゴジラ」‥‥60年後の2021年を予見していた怪獣映画!

筆者の体調が回復してきたこともあり、立て続けになりますが新作を発表させて頂きます。

今回は、1962年の東宝の怪獣映画「キングコング対ゴジラ」を取り上げます。
例によってあらすじから。
大手製薬会社であるパシフィック製薬は、「世界の驚異シリーズ」と言うテレビ番組のスポンサーであるが、視聴率は低迷している。同社の宣伝部長である多古(有島一郎)は、社長から視聴率向上の厳命を受け、 クリックして続きを読む

「紙の月」‥‥なぜ人は不正に手を染めるのか?

今回は、「紙の月」を取り上げます。この映画は2014年制作とこのコラムとしては、ずいぶん新しいものになります。先ずはストーリーから。

とある銀行の支店に勤務する梨花(宮沢りえ)は、サラリーマンの夫である正文(田辺誠一)と2人で暮らす平凡な主婦。梨花の同僚には、若くて調子のよい相川(大島優子)、支店勤務25年のお局さんで何かにつけうるさい隅(小林聡美)、無能な支店次長の井上(近藤芳正)等がいる。正文は仕事が多忙で、梨花との家庭内の会話は途絶えがちであった。そんな中、梨花は銀行の顧客で気難しい老人の平林(石橋蓮司)宅を訪問した後、お茶を入れようとした台所で孫の光太(池松壮亮)と出会う。 クリックして続きを読む

「白い巨塔 対決! 財前vsマスゾエ」その後編!

~前編~はこちらから!

またまた、長いあらすじとなってしまいましたが、山崎豊子モノはストーリーが長いのに加えて勧善懲悪に則っていろんな人物が出てくるのでどうしても長くなってしまいます。

例えば、産婦人科医である財前又一は、人前でお茶でうがいをしてから飲む様な下品で、金と女と娘婿の教授昇進にしか興味のない最低の人物として描かれています。また、整形外科の野坂教授はどっちつかずの態度で財前、菊川両派から金や地位の恩恵を受けるという人物です。
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「白い巨塔 対決! 財前vsマスゾエ」その前編!

今回も、またまた懐かしの大作シリーズとして山崎豊子原作、山本薩夫監督による「白い巨塔」を取り上げます。

この作品は、山崎豊子が船場を舞台にした商人ものから、本格的な社会派小説へと舵を切った最初の作品(舞台は大阪ですが)であり、主演の田宮二郎にとっても、その名声を決定的なものにした記念碑的な作品です。映画が公開されたのが1966年ですから、もう50年以上も前になりますね
その後、「白い巨塔」は1977年に同じく田宮主演で、その後唐沢寿明や岡田准一の主演で都合5回にわたってテレビドラマ化されていますが、私はいずれも見たことはありません。
尚、この小説は
1973年の京都大学の国語の入試問題に使用されていました。 確か、浪速大学を退任する里見が大学の塔を振り返るくだりが引用されていて「白い巨塔の意味するところを〇〇字で記載せよ」と言う設問だったと思います。こんな40何年も前のことを覚えている人は多分もういないと思いますが・・・・・。

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file3,義を見てせざるは・・・・その16

~その15~は、こちらから!

後で聞いた話だけど、私たちと入れ替わりに調停室に入った大石憲三氏と元橋弁護士は、名取ちなみが浮気を認めた書面を見てかなり衝撃を受けていた様子だったとか。しかし、それでもやっぱり、断固として不貞の事実を認める事はなかった。あれだけ大口叩いてきた手前、今さら「ウソついてました!」なんてカッコ悪い事、さすがに言えやしないわよね。あの性格だから、まあ予想通りの反応だけど。ホント、分かりやすいコンビだこと。
憲三氏側のそんな頑なな姿勢を受けて、裁判官も加わって調停委員会の評議が始まった。 クリックして続きを読む

file3,義を見てせざるは・・・・その11

~その10~は、こちらから!

「はい。私も、あの調査報告書には目を通させて頂いてますので、事情はおおむね把握している積りです」
「もちろん、ご主人の方とは連絡を取ってらっしゃるんですよね」
武藤弁護士が、それとなく探りを入れてきた。 クリックして続きを読む

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