優奈さんの妊娠という事実は、幸次さんに強い衝撃を与えたはず。でも、幸次さんはしばらく沈黙した後、おもむろに口を開いた。
「いや、私は、もう息子とは縁を切ったんですよ。たとえ初孫が生まれようが、どうせ会えやしない。会えない孫なら、いないも一緒です。私が望むのは、ただ一つ。騙し取った金を返せって事だけです」
それが本心でない事は、その苦渋を噛み殺した表情が物語っていた。
「本当に? 本当にそれでいいんですか?」
「もちろんです。和樹に伝えて下さい。俺の存在がお前や家族にとっていかに迷惑か、よおく分かってる。二度と顔を見せないから、奪った金だけは返せって」 クリックして続きを読む