「今年の4月でした。いつものように池袋で会って、いよいよあと2カ月だな、なんて話をしていたら……」
和樹さんが、ちょっと改まった様子で、父さんにちょっと相談したい事があるんだ、と切り出したのだという。
大きく息をついた幸次さんの眉間のしわが深くなった。いよいよ、問題の核心に入るのだろうか。
「結婚式なんだけど、母さんも出席するんだ」
「うん。そりゃあ、まあそうだろうな」
「それでさ……。向こうの実家からすれば、新郎の両親が、離婚してるのに披露宴で席を並べるというのがちょっと引っ掛るらしいんだ」
「そんなこと、今の時代にはよくある話だろ。まさか、披露宴の席で喧嘩する訳でもあるまいし」
「でもさ。締めの挨拶って、大抵は新郎の父がするじゃない」
「ああ。一生に一度の事だもんな。お世話になってる方々に、ちゃんと感謝の気持ちを伝えるもんなんだろ」
そりゃまあ分かるんだけど、と言いながら、和樹さんは言った。
「母さんが、父さんには出席して欲しくないって言うんだ」 クリックして続きを読む