「自殺も本気で考えました」
幸次さんが、ふと当時を思い出すように天井を見上げた。
「和樹がいなかったら確実に死んでました。自殺したか、のたれ死にしたかは分かりませんけど。こうやって、まがりなりにも生きおおせてるのは、まあ和樹のおかげかもしれません」
あんな目にあってどん底の境遇に追い込まれて、その上生きる張りすらなくしたら。私は、何だかぞっとした。
「埼玉のぼろアパートのせんべい布団の中で、もうろうとした頭で、こんなことになってとにかく和樹に申し訳ないと、日がなそればかり考えていました。罪ほろぼしをしなきゃいかん、和樹のために何かしてやれることはないもんか、とは思うんですが、どっこい身体の方がどうしても動いてくれません。日がな一日部屋に閉じこもりっきりで、外へ出るのは、何日かに一回、近所のコンビニにおにぎりとかパンとか飲み物を買いに行く時ぐらい。そんな状態が2ヶ月以上続きましたか。破産手続きの時、弁護士さんがぎりぎり確保してくれた当座のお金も、もう底をつきかけていました。でも、まあ金が無くなったら無くなったでしょうがないって。まあそんな精神状態じゃ、身体も動いてくれるはずがないですよね」
うつ症状はずっと続いていたのだろう。生活は不健康そのもの、おまけに何の治療も投薬もしてないんだから、病状が好転するはずもない。
あれは、朝晩かなり冷え込むようになった頃でした・・・・。
幸次さんが、ぽつりと言った。