「ほんとに、もうどうしていいか分からなくて」
その青年は、困り切った顔で深いため息をついた。
「父の恩は、身にしみて分かっています。でも、あの時は、本当にもうどうしようもなくて。ただ、誠心誠意説明して、分かってくれたとばかり思ってました。けど、そうじゃなかったんですね。私が甘かったんです」
青年はバッグから封筒を取り出した。
「おととい、こんな通知が郵送されてきました」
内容証明郵便だった。対立する相手に要求する具体的な内容、そしてその通知を相手が実際に受け取った日時を公的に証明する、一番確実で手っ取り早い方法だ。
青年は封筒の中身を取り出して文面を見せてくれた。
『当方が貴殿に貸付けた以下の金員の返済を求める。
1,平成22年4月から平成28年8月の期間、面会の上手渡した月当たり12万円を積算した合計768万円(12万円×64カ月)。当方がこの金員を貴殿の母上に贈与した事実はなく、従って、これは当然に貸付金である。
2,平成28年6月26日(日)に、恵比寿のホテルウィンダムでとり行った貴殿の結婚式費用として当方が支払った480万円。そもそも、貴殿から結婚式への出席を拒絶された当方が結婚費用を負担する理由はまったくない。従って、これは贈与ではなく当然に貸付金である。
以上の合計1248万円の返済期限は、本書面到達の翌月(11月)末日とする。
もし万一、期限までに返済いただけない場合は、法的手段をとることをあらかじめ通告する。
平成28年10月1日』 クリックして続きを読む