出口治明氏の講演会に参加しました。

同氏は2006年に日本生命を退社し、60歳で起業し独立系の生命保険会社であるライフネット生命保険を立ち上げた方です。日本経済の問題から始まり、自分の価値向上のために学ぶこと、最後はライフネット生命社のご紹介まで、幅広いお話を伺うことが出来ました。

  • 先ずは日本経済の構造的な問題について、同氏によると、GDP = 人口×生産性だそうです。
    従い、GDP増加のためには、次の2点が必要になります:
  1. 人口を必死で増やす政策をとること(シラク3原則=子供を持つことよって経済的負担増大と女性の働くチャンス喪失を阻止するフランスの政策を参考に )
    優秀な即戦力の労働力を世界中から集めること(米国を参考に)
  2. 労働力を生産性の低い産業から高い産業に自由に移動できる環境整備を行うこと逆に言えば、今までの日本では上記の対応が、ほとんど行われていない。これに手を付けることによって、まだまだ成長の余地があるとのことでした。

 

  • 次に、“学び”について。学ぶことは自分への投資、即ち、収益力を上げること、結果として生涯賃金の増加に繋がる。
    その学びは人から、本から、旅からしか無い。個人が自身で学べる時間・量には限界があるので、他人の経験(即ち、本)から学ぶ必要がある。
  • 最後に多様性について、出口社長をはじめライブネット生命の幹部は合理的・ロジカルに経営を進めているので、幹部間の価値観の相違が障害にならない。むしろ、価値観の相違や、多様性が推進力になる。

 

講演を通じて、話が理路整然としており、言葉のひとつひとつに頷いてしまいました。

出口社長の論によれば、60歳で起業することは異例なことでもなんでもないのでしょうが、やはり、そのエネルギーには圧倒されます。

さて、今回の論点の一つである“多様性”ですが、最近手に入れたCDの中に、これぞ多様性と言う曲が収録されていました。村田英雄の“太陽に祈ろう”、昭和43年1月発売と言う正にGS全盛期作品です。

村田太陽に.jpg

先ず、まるでピンクフロイドかと思うような女性コーラスが遠くから近づいてきた後に、サックスとエレキギターによるブルコメ調のイントロに尺八が絡んで来ます。村田先生の歌が始まるまでの25秒間で、既に思いっきり、カオスの世界に浸ることが出来ます。次に歌い出しは、燃える太陽は~♪、赤い夕焼けは~♪と言うGSキーワードを散りばめながら、いつの間にか、村田先生の男道の世界に変わって行きます。

バックの演奏は、エレキとチープなオルガンに尺八と言う独特のGS形態なのですが、ご本人の歌いっぷりは、バックがGSであろうが、全くぶれることなく男の世界を堂々と歌い上げて行きます。最後に、村田先生の声がフェードアウトした後、サックスが復活し、真っ赤な太陽のイントロと同じフレーズでサックスが復活して締めくくりとなります。

このカオス的なアレンジを取り入れつつも全く軸をブラすことのない村田先生の歌いっぷりこそ、多様性を受け容れ環境の変化に対応しつつ、自身のコアバリューを変えることのない経営の本質と言えましょう。いや~ 、素晴らしい曲に出会うことが出来ました。

 

尚、レコードジャケットには、西川流家元西川右近氏による振付指導がついて村田太陽に2.jpgいます。

(尚、同じコロンビアのひばりさんの“むらさきの夜明け”の映像を見るとバックのダンサーがハチャメチャで、間奏におけるひばりさんのダンスも、かなり???です。天下のひばりさんですら、軸をブラしてしまっている中、GS系の曲に日本舞踊の振付をすると言う、村田先生の筋の通し方は見事と言うほかありません)

ところで、そんな素晴らしいこの曲はヒットしたかって???? さぁ、どうだったんでしょうか。

尚、日本コロンビアは、美空ひばりの真っ赤な太陽が大ヒットしたことから二匹目、三匹目のどじょうを狙って大御所歌手のGS挑戦が目立ちます。ひばりさんに加えて、こまどり姉妹のミニスカのジャケットが印象的な“恋の風車”、畠山みどりのGSご当地ソング“北国は恋がいっぱい”、都はるみの“フレンド東京”、“涙のバラ”等、素晴らしい曲が多数ありますので、聞いて見てください。

(12年12月)