ケーブルTVで昔の映画を観るのが楽しみの一つなんですが、森繁の社長シリーズは、ホントに面白い。森繁の女好きでいい加減だが、人情家で魅力ある人間性、真面目一本の加藤大介、交際費で芸者と遊ぶことしか考えていない三木のり平、森繁の都合で引っ張りまわされ恋愛も意のままにならならない秘書課長の小林桂樹。其々のキャラクターが素晴らしいことに加えて、映画で演じられている内容が今の会社経営にも繋がる部分があることも魅力の一つである。(その点、同じ森繁でも駅前シリーズは単なるドタバタで、面白くない)

森繁の会社が何とか回っているのは、加藤大介による牽制や危機管理が機能していることが大きいと思う。

彼は堅物なので森繁や三木はうっとうしがっているのだが、結果的にこの堅物ぶりで会社の危機を救っている。例えば、定年直前の総務部長で軍隊上がりある加藤は毎月大げさな防火訓練を繰返している。

森繁が、客との商談と偽って芸者と逢引している間に、会社の倉庫で火災が発生。秘書の小林が社長の指示を仰ごうと連絡を試みるが所在不明。森繁が帰社すると倉庫は全焼しており、会社が倒産してしまう と落ち込む。そこに加藤が現れ、日ごろの訓練が効いて重要な商品はすべて別倉庫に搬送済みと報告する。

数日後定年退職の挨拶に訪れた加藤の前で、森繁は急遽役員会を開催し、人事規程を改訂し定年延長制度の導入を即刻実施する。

と言った具合である。

実際の中堅クラスの企業のワンマン社長は、反対意見を述べてくれる幹部社員をどの様に扱っているであろうか?また、危機管理に時間と金と頭をどこまで使っているだろうか?

現実には採算的に危機管理に金と時間と頭を使う余裕がなく、また、自身に反対意見を言ってくれる幹部を遠ざけているのではないか。

我々の様な経営アドバイスをする立場の人間が、その役割を果たすことが出来れば・・・・と思いながら、社長シリーズをまたまた見てしまうのだ。 (2011年10月)

 

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(写真は、東宝映画より引用