新聞記事によると、伊藤忠商事の岡藤社長の商売のモットーは「か・け・ふ」、つまり「か:稼ぐ」「け:削る」「ふ:防ぐ」だそうです。大企業の社長サン達の訓話は中国の故事来歴などでやたら難しい中、とてもシンプルで、しかも高学歴のホワイトカラーばかりの社員に対する簡単明瞭なメッセージなのでとても新鮮でした。これだと忘れる社員はいないでしょう。

もうひとつ大切なことは、3つのうち2つ、即ち、「け」と「ふ」が守備的であることです。かつての商社のイメージはひたすら稼ぐ攻撃オンリーでしたが、ここでは、いたずらに規模の大きな商売を追いかけずコストに見合った利益重視の姿勢とリスク管理を重要性が謳われている様な印象です。特に、昨年来の大きな自然災害、大企業幹部の不正、欧州の金融危機など「予期せぬ事態」に対処出来るリスク管理能力が企業の存続を左右することになると思われます。

リスク管理の専門家を多数抱える大企業はともかくとして、中小企業においては日々の採算(即ち、稼ぐ・削る)の管理はされていても、リスク管理(防ぐ)については、保険をかける程度で、それ以外は、手が回っていないのではないでしょうか?中小企業診断士にとってもリスク管理は重要なテーマです。今までは、リスクと言えば取引先の倒産やや品質クレームへの対応などが中心でしたが、自然災害を含めたあらゆるリスク管理について、勉強していきたいと思っています。

ところで、元阪神タイガースの掛布雅之氏の会社は、残念ながら一昨年に倒産したそうです。あれだけ活躍された選手ですから、か(稼ぐ)の方は大丈夫だったのでしょうが、「け」と「ふ」がなかったのででょうか?もっとも、掛布さんは若い頃から「け(毛)」はなかった様に記憶しますが・・・・。