植木等の「日本一の男の中の男」を見ました。本作は、植木等の日本一シリーズの5作目だそうです。
あらすじは以下の通り。
大手造船会社である丸菱重工の腕利き営業マンである小野子(植木)は、造船所内でヘルメットを被っていない老人(東野英治郎)に注意する。東野は丸菱コンツェルンの会長なのだが、それが判った後も態度を変えない。
直後に小野子は、傍系会社の世界ストッキングに出向を命ぜられ怒り狂う。同社は業績が低迷しており東野の孫娘で米国留学帰りのミチコ(浅丘ルリ子)が中心となって業績向上に取り組んでいるところである。切り替えの早い植木はストッキングのアンテナショップの店員として業績をあげた後、宣伝部に配属。宣伝部長(藤岡琢也)の指示に反して高額の代理店との宣伝契約を破棄し、社内の美脚3人娘をCFに出演させ、公約した「1/10の経費で10倍の効果を上げる」を実現する。次に異動になった営業部では、部長(藤村有弘)は「ウチの営業は万全」と言うのだが、実は業界最大手の松越百貨店との取引が0であった。植木は、松越百貨店の仕入部長(谷啓)を接待攻勢で口説き落とし同社との大口契約を纏めるが、交際費を使わせない方針の浅丘とことごとく対立する。
更に、海外部長に出世した植木は、同社の製造に不可欠な技術供与元である米国デュパン社からの無理難題をつきつけられるが、自社工場の技術優位性を武器に、自社に有利な方向で契約を纏め、更にミチコのハートまで掴んでしまう。実は、植木の世界ストッキングへの出向は、彼の実力を見込んだ東野が同社の再生を植木に託して下した決定であった。と言うストーリーである。
良くある出世物語と言えばそれまでであるが、昨今世間を賑わせている2社の事件を思えば、相手が実力者であれ間違いは間違いと指摘する植木の態度に拍手を贈らざるを得ない。
また、世界ストッキングの役員は、自分で何事も決定できない社長(十朱久雄:ご存じ十朱幸代のお父さん)を始めとして、幹部連中はぼんくらばかり。特に最大手百貨店との取引口座がないにも拘らず「自社の営業体制は万全」と嘯く安定ボケで現状肯定派の藤村の様なタイプは、現実にいそうである。
この映画は、68年正月公開と44年も昔のものであるが、残念ながら一部の日本企業において本質は、44年間あまり変わっていないのかも知れない。また、某社の英国人元社長のオニイサンは、現代版植木と言うことになるのか???
尚、この映画の見所は他にもある。先ず、同社の美脚3人娘として木の実ナナ、奥村チヨ、伊東きよ子が美脚を(少し)披露している。特に当時「花とおじさん」でブレーク中の伊東きよ子は、以降も「リンゴの花咲くころ」「花のマドンナ」とヒットを飛ばすのだが、貴重な映像である。
もう一つ、植木が谷を接待するショークラブで平尾正章が歌う「若いって素晴らしい(オリジナル:槇みちる)」のバックで踊りとコーラスを務めるミリタリールックのミニスカ4人娘のうち3人は山室英美子(69年にトワエモアとしてデビュー)、久美かおり(68年に「世界は僕らを待っている」でジュリーの恋人シルビーとしてデビュー)、平山三紀(70年に「ビューティフルヨコハマ」でデビュー)と夫々が全く異なるキャラクターで一世を風靡する芸能人としてデビューすることになるが、その前夜の映像を楽しむことが出来る。
(2011年12月)
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