法律なるほど! (page 2 of 2)

お上の思うツボに、はまらぬように!


世の中、色んな争いごとがいっぱい(>_<)
その争いごとを最終的に解決できるのは、結局、法律であり裁判です。
みなさん、裁判というと、ちょっと堅苦しくて小難しいとお思いでしょうが、まったくその通り!
法律にしても判決文にしても、とても日本語とは思えないような超悪文だらけ。まともな神経では、とても読めたもんじゃありません。法律を作る国会も、それを実行する規則を作るお役人も、争いを裁く裁判官も、何だかとてもまともな日本語教育を受けてきたとは思えないぐらい。
でもそれには訳があります。昔っから、「知らしむべからず」なあんて言って、大切なことは庶民には知らせるな、というのがお上の体質ってもんなんです。
なぜかって? お上は完璧なんだから、何も分かってない国民からいろいろ口出しをされたくないんですね(+_+) つまり、大切なことを、わざと読みにくくして、読む気をなくさせたり理解できなくさせたりけむに巻いたりするのが、まあ権力者というものの常なんです(^_-)
もちろん、「王に間違いはない」なんて言われてきた支配者たちがどれほどの過ちを犯してきたか、それは歴史を見れば明らかなんですが。まあ、権威を保ちたいから、もって回ったいかめしい言い方をしたがるところもあるんですけどね。
そこで、このページでは、そんな小難しい、しち面倒くさい法律や裁判のエピソードを、ごくごく分かりやすく、しかも楽しく面白おかしく解説していきたいと思います。いわば、池上さん解説、法律版といったところ。
さあ、みなさん。お上にけむに巻かれないように、お上の思うツボにはまらないように、ちょっと立ち寄ってみて下さい。

◆file.4a◆ 替え歌って、やっぱり盗作じゃないの? 2012-02-06

exclamation&question【軍歌フリークの方からの御質問】

もう何十年も前のことになりますが、小学校の運動会でみんなで歌った応援歌がありました。
子ども心に、この応援歌はてっきり先生が作ったオリジナルだと思いこんでいたのですが、最近になって、実はそれが戦前の軍歌のメロディを使っていたことが分かったんです。
その応援歌の原曲は「日本海軍」という、聞いたこともない軍歌でした。

http://www.youtube.com/watch?v=fiijvC3HEEI

私にとっては大きな発見だったので色々調べてみると、さらに意外なことに気づきました。そのメロディは、何と北朝鮮の「朝鮮革命軍歌」という曲とも瓜二つだったのです。

http://www.youtube.com/watch?v=gtbbC0fu8C4
戦前の軍歌  →共産主義国の革命歌
→小学校の運動会の応援歌
という何ともはやミスマッチな流れ。一体、どうなっているのやら。

そこで、私の中でちょっとした疑問が生まれてきたんです。

① 「日本海軍」の作者は、「朝鮮革命軍歌」の作者に対して、著作権の侵害に対して何らかの手を打つことは可能なのか?
もし、北朝鮮が、著作権の国際条約に加盟していなければ、どんな曲でも使いたい放題なのか?
そもそも北朝鮮に著作権と言う概念があるかどうか不明ですが。

② と言うことは、逆に日本の誰かが北朝鮮の曲に勝手に歌詞をつけて、仮にCDを販売しても同様に誰も文句を言う権利を持たないことになるのでしょうか?

③ 単なる子ども同士の替え歌ならともかく、小学校の運動会の応援歌として流用し、それを児童たちにおおっぴらに歌わせるとなると、著作権者から何かクレームが来たりはしないのか?

◆file.3◆ 中途退学の場合の授業料の返金について。 2011-06-05

■相談file.1■では、入学辞退者の授業料返還についてのお話をしました。

それでは、大学以外の専門学校なども含め、4月の年度が始まって以降の中途退学の場合の授業料返還についてはどうなっているのでしょう。

大学の授業料返還については、2006年の最高裁の判決が基準になっています。この判決、簡単にいえば、「入学金は『入学できる地位の対価』なので入学辞退者に返還する必要はない。しかし、その他の授業料や設備費などは、3月31日までに辞退を申し入れれば原則返還しなければならない」ということです。

その根拠となっている法律が、2001年に施行された「消費者契約法」。入学していないのだから学校は退学による損害を受けておらず、損害以上の賠償を禁止する消費者契約法に反するためです。ただし、最高裁が言っているように、入学年度が始まる4月1日より前に入学辞退を申し出た場合に限る、というのが基本です。

消費者契約法施行以前の入試に関する訴訟の場合は、入学金、授業料、施設費などすべて返還する義務はないとしていました。入学も契約の一つです。つまり、学校は学生に対して教育を受ける機会や施設を利用させる代わりに、学生はその対価(代金)を学校に支払うということになります。裁判所は、学校と学生の間のこの契約には消費者契約法の適用があるとしています。

さてそれでは、退学を申し出るのが4月1日以降になってしまった場合、授業料などの返金を求めることは不可能なのでしょうか? もし仮に、4月に入ってからどうしても退学しなければならない事情が生れたら、たとえ1回も授業を受けなかったとしても授業料は1円も返ってこないのでしょうか。
仮に裁判に訴えても、上の最高裁判例があるので、いくら腕利きの弁護士が付いてもまず勝てる見込みはないでしょう。

でも、実は、裁判以外にいくつかの方法があるんです。そのとっておきの方法を、そっとお教えしましょう。

①  消費者センターや国民生活センターなどの公的機関に相談する。
でも、担当者は、先ほどの最高裁の判例を例に挙げて、「3月中だったら大丈夫だったんですけどねえ。4月に入ってからでは、ちょっと無理ですね」と冷たく言われちゃうかもしれません。

でも、そこで諦めてはいけません。次の手立てを考えるのです。

②  例えば、悪質な事業者に是正を申入れたり協議をしてくれるNPO法人があります。こうした組織は、消費者トラブルの実例を、ホームページで実名入りで公表することになっています。もしこの機関が取り上げてくれれば、信用が第一の学校にとっては大きなプレッシャーになるはずです。

③  聞きなれない言葉かも知れませんが、ADRという方法もあります。裁判に訴えることなく交渉でトラブルを解決するという、最近注目されている方法です。
政府系の機関の中には、学生と学校との間に入って和解交渉の仲介をする権限を持っている場合があるのです。こうした公的機関から仲介の連絡を受けたら、公共性の高い学校は、それを無視するのは難しいでしょう。そして、公的な仲介者が間に入った和解交渉が始まれば、さすがにゼロ回答という訳にはいかなくなる可能性が高いのではないかと思われます。

こうしたやり方を、実際に素人が実行するのはなかなか大変かもしれません。でも、ものものしい裁判と違って早期の解決が可能だし、何といっても経費がほとんどかからないのが最大の利点です。
本来であれば全額没収だった授業料が、ごく一部でも返ってくるならば、それだけの苦労をする甲斐もあろうってもんじゃないですか?

以上、もし授業料返還について困った時は、ぜひ“文殊”に無料相談を。

◆file.2◆ 離婚と財産分与と住宅ローン 2011-02-27

exclamation&question 文殊アシスタントの三田律子です。

離婚時の財産分与で住宅ローンが残っている場合、いろいろな要素が複雑にからみ合いますよね。

例えば、
不動産の名義は誰か? ローン名義は誰か?
売却するのか? どちらかがそのまま居住するのか? 所有権は移転させるのか? その後のローンは誰が負担するのか? さらに夫には借金があるとか、失業中だとか……
などなど、事情が複雑にからみあっていて、とても一筋縄ではいきません。

先日、こんな電話相談がありました。協議離婚したばかりの30代の女性からです。
彼女は、住宅の所有権を夫から移転してもらい、ローン名義は夫のまま支払いを続ける約束で離婚したそうです。
でも、最近、元夫の会社の業績が悪化しているという話を聞いて、すごく不安になってきたとのこと。もし夫が支払いを滞納して支払不能になったら、ローンの抵当権が実行されて妻は住宅を失うことになります。
こんな場合、奥さんにとって、どうするのが一番リスクが少ないんでしょうか?

 

るんるん さうですね。住宅名義を夫から妻に移してローン名義は夫のままで、いふのは難しいでせう。そもそも住宅ローンは、「所有者=ローン名義人」であることが基本。抵当権付きのマンションの所有権の移転を、金融機関がおいそれと認めてくれるとは思へません。

となると、だうしても妻がマンションの名義を移したいのであれば、
①残債について、受け取った不動産を担保として、元夫を債務者、元妻を物上保証人とするローンを新たに組む
②元妻が自分で残債分のローンを新規に組むか、元夫のローンを月々の慰謝料+自力でぐわんばって返済していく
しかないのではないでせうか。
でも、別れた夫が、生活費や養育費を、将来ずっと支払ってくれるものかだうか、はなはだ疑問です。冷静に考へて自己返済が困難だと判断するならば、現段階で住宅を売却し、それをベースに新規巻き直すことを考へるべきではないでせうか。残債がどれぐらい残ってゐるのかは分かりませんが、そんな夫をチョイスしたのは他ならぬ自分自身。基本的には元夫に頼らないで生きていく覚悟で、新たな一歩を踏み出すことをおすすめします。

 

ひらめき 三田です。ちょっと調べてみたら、不動産の名義だけ妻に変更はできるみたいですね。
所有権を自分に変更したから安心していた女性から、元夫がローン滞納したから銀行から抵当権実行、競売されそうだという相談もよく聞きます。

所有権持ってても、残念ながら抵当権には対抗できない、…みたいな回答にならざるを得ないみたい。
これって、随伴性とかそういう性質が関係してるんですか?

 

るんるん さうですね。抵当権つきの土地の所有権が移転すると、所有権とともに担保権も移動(随伴)することになりますね。
無論、抵当権付きだから譲受人の地位はとても不安定なものになります。銀行に抵当権消滅請求をするか代価弁済といふことになるけど、奥さんに十分な資力があるとは思へないから、どちらも難しからうと思ひます。

◆file.1◆  大学の授業料を返してもらえますか? 2010-12-10

街角の法律活用術

exclamation&question 文殊アシスタントの三田です。

私の知人で授業料の件で困っている人がいます。こんなケースはどうしたらよいでしょうか?

「息子が、学校推薦で某大学に合格を頂いたのですが、本人は学校が勝手に決めた大学なんてと、入学式にも出席せず、結局その後も一度も通学していません。家族みんなで随分説得したのですが、本人はとにかく勉強も嫌いなもので、通う気はまったくありません。

いつまでも宙ぶらりんにしたままでは、大学に対しても失礼なので、大学に退学届けを出そうと思っています。ただ、まさかこんなことになろうとは思わず、入学金を払い込む際、一年分の授業料を一括払い込みをしてしまっています。合計すると、100万円を超えます。入学金は、まあ仕方がありませんが、一度も出席していない授業料は、どぶに捨てたようなものです。何とか、一部でも返還して欲しいのですが、可能でしょうか?」

 

ひらめき 私なりに、頑張ってちょっと判例を調べてみました。
未受講分は不当利得として返還請求が可能みたいですね!

①不当利得返還請求事件
東京高裁H17/2/24
原審東京地裁H15/10/23

②学納金返還請求事件
京都地裁H17/3/25

③不当利得返還請求事件
横浜地裁H17/4/28

 

るんるん 不当利得の返還請求という観点は、とても興味深いものがありますね。

この場合、大学側が授業の提供という債務を履行しているのに、本人が自分の都合で勝手に受講しなかったということになります。民法的の原則から言えば、相手方の履行提供がありながら本人が受領拒否していると考えると「受領遅滞」ということになって、相手方(大学)は債務不履行責任を免れることになります。つまりこの場合、悪いのは学生の側であって、大学側には一切非がないことになってしまう訳です。
従って、裁判所も、以前は、学生側がいったん納入した授業料を返還してほしいという請求を認めてきませんでした。

ところが、2001年に、消費者契約法が施行されて、事態は大きく変わりました。
2006年11月27日、最高裁の画期的な判断が出ました。納入した学費は返還しないとの規定があったとしても、実際の損害額を超える部分は無効であり、大学は入学辞退した学生の授業料相当分を全額返還すべきだとの判決を言い渡したのです。

これ以降、入学辞退した場合、受講しなかった授業料については返還するという流れが確立しました。
企業や学校に比べて、一般の消費者や学生は圧倒的に非力です。消費者の保護を重んじる時代の流れによって、国民生活センターや消費者庁など消費者をサポートする公的機関が生まれ、法律面でも手厚い保護が図られるようになった訳です。

でも、いくら法律で保護されているからといって、安心してはなりせん。その法律を実際に活用する方法を知らなければ、せっかくの消費者保護の法律もまさに絵に描いた餅。
では、実際に納入してしまった学費を、一体どうしたら返金してもらえるのか。「街角の法律活用術」では、これから機会があるごとに実例をあげながらお話ししていこうと思います。 〆

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