講演と執筆(伊藤) (page 2 of 3)

中小企業診断士って何?

中小企業診断士の伊藤です。

昨年は、3つの講演を行い、其々非常に有意義な経験でした。機会を頂いた各位に改めて御礼申し上げます。

さて、今年は2つの目標を掲げて活動して行きたいと考えています。

一つ目は、中小企業の海外展開のお手伝いです。コンビニや居酒屋の店員さんの多くは外国人であるように、自分たちの製品やサービスの販路を海外に求める事や、安くて良い部材があれば海外から調達する事は、決して特別な事ではなくなりました。でも、言葉や商習慣の違いからトラブルが発生する危険性も大きくなります。私の数えきれない失敗の中から、海外展開の要点をお伝えすることが出来ればと考えます。

もう一つは、市場調査・販促プラン作成に注力する事です。中小企業も新たな製品や市場開拓に力を入れなければなりません。大手企業ならば調査部があって、市場や新製品の動きに目を光らせていますが、一般的に中小企業には社内で調査を行う体制を作ることが難しいと思われます。そこで、我々診断士が市場調査・販促プランのお手伝いを引受けて行きたいと考えています。中小企業診断士の半数以上は、企業に勤務する現役のサラリーマンで、私の仲間も色んな

業種の企業から集まってきています。このノウハウを活かして調査・販促プランを作っていく所存です。

どうぞよろしくお願いします。

元気な中小企業のヒ・ミ・ツ

12月18日付の読売新聞に「元気な中小企業の秘密」と題して名古屋の「エイベックス」と言う会社に関する記事が掲載されていました。記事によると、自動車部品の2次下請けメーカーなのですが、新たな市場開拓によって受注に生産が追い付かない元気いっぱいの企業だそうです。その成功の秘訣ですが・・・、短い記事の中にいくつかヒントがありました。

先ず、「ミクロで見ればまだまだ、やれることはある」との社長発言。それから「これまでの取引先に頼るばかりでなく新しい市場を開拓」、「ダメでもともと・・」等々。

原動力はやはり技術力とコスト削減努力だった様ですが、「やれることはないか」の前向きの市場分析、「だめもと・・」の積極性など、記事にもあるようにハングリー精神に基づいた活動が、大きな成功要因と思われます。

もう一つ、印象的なのは、営業をかけた大手企業が「意外に話を聞いてくれた」と言うことです。中小・大手を問わず、新たな取り組み先の発掘によって現状を打破しようとの姿勢の表れでしょうか?

この記事の最後は、「上を向こう。元気な企業が増えることが日本の復活につながる。」と締めくくっていますが、正にその通りだと思います。

在日留学生との交流会(2011年12月10日)

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★ 今年も「在日留学生との国際交流会」に参加してきました。今回は、留学生だけでなく、日本で活躍する元留学生たちも参加し、在日の外国人ビジネスパーソンから見た日本企業について、興味深い話を聞くことが出来ました。

★ うち一人は40歳くらいの投資会社を経営する中国人です。 彼が出資している、日本の有名なスポーツ用品メーカーについて、「日本での成長に限界があるので中国市場を開拓する」由で、これはフツーの話。
また、この会社は100%日本国内で製造していますが、「これを中国に移管するつもりは無い」とのことでした。
理由は、「Made in Japanであることを評価し高い価格で購入する顧客層を相手に市場展開するから(中国で生産すると価値が低下し、価格を下げてもかえって売れない)」だそうです。

★ 「円高による競争力低下」⇒「海外への工場進出」と判で押したような話が多い中、新鮮な話でとても印象的でした。
対象顧客のニーズに合わせた製造・販売戦略と言う当たり前のことなのですが、その考えがあまり重視されていないケースが多いような気がしてなりません。生産拠点を海外に移すべき事業が多いのは事実でしょうが、自社の顧客が何を求めているかを事前に十分行った上での判断がやはり必要だと思います。

★ その他の元留学生は全員20代後半から30歳の若手。日本に留まって仕事をしている訳ですから、日本贔屓の方ばかり。「日本の若者は外に出ていく積極性がない」「会議をやっても結論が出ない」等、辛辣な発言もありましたが、「日本はMade in Japanの価値をもっと認識するべき!」との言葉には、つい頷いてしまいました。

特に、音楽関係の仕事をやっているマレーシアから来たY君は、「とにかく日本の音楽が好きで好きで・・・」 とのこと。技術力だけでなく、色んなところで日本の良さを評価してくれている外国人の存在は頼もしく、日本人自身がその良さを評価し、ビジネスに結び付ける様にしなければならないと改めて考えさせられました。

中小企業の海外進出 ~現場経営者の声から~

私の知人で、長年日韓の人材交流を推進するNPOの日本代表を勤めながら、韓国の先端テクノロジー機器の日本での販売などの事業を行う某氏より、中小企業の海外進出について、現場の目線からご意見を頂きました:

中小企業の海外進出ですが、不慣れな文化、言語の海外にいきなり出ていくことには私も反対です。
安易に海外進出するのではなく、慎重になるべきだと私も思います。
まず海外人材を雇用して、外国人の人材を育成すべきでしょうね。

私が10年来存じ上げている中小企業は、昨今の経済事情に憂慮して韓国に本社を移転することに決定しました。しかし、この決定ができるのは、10年前から準備していたからこそなのです。
現在、社員の30%がアジア人です。
経営者として、現地に乗り込み、陣頭指揮を社長みずからが行う予定です。
必ず勝つ試合をするのが経営者です。海外進出も、100%成功するために、下準備が必要ですね。

国内で、海外人材を日本人とおなじように公平に扱えば、途中で帰国してしまうことはないと思います。かえって、清潔で安全な日本の生活を大事に考えるようになります。

ビザに関しては、業種によって、条件が異なりますのでなんとも言えませんが、海外の優秀な人材を後継者にするぐらいの覚悟で望めば、海外への進出時期が来たときに、心強い現地法人の代表者になります。

優秀な海外人材を入社させられるか否かによって、今後、中小企業の寿命も変わってくるのではないかと思います。

以上、思いついたことを書いてみました。

知的資産経営のススメ 2011.11.27

「知的資産」って聞いたことがありますか?

「知的財産」は、何となくイメージが湧きますよね。発明やデザイン・ブランド、業務上のノウハウ等のことで、無形であることに特徴があります。また、「知的財産」のうち、特許権・商標権などその権利が保証されているのが「知的財産権」となります。

「知的資産」と「知的財産」は、同一ではありません。「知的資産」は、「知的財産」を含みますが、もっと広くアバウトな概念なのです。

経済産業省によると、
「企業が持っている資産のうち、企業価値を生み出す源泉であり無形のもの」
だそうです。

要するに「何が良くてこの企業は今まで生き残ることが出来たのか、今後も成長が期待できるのか?」を考えた場合、その「良い所」で且つ「無形のもの」のことです。

1. 何故、無形なのか?

一般に企業の価値の源泉は、有形資産 → 無形資産に 中心に変わってきていると言われています。「何が良くて・・」を考えた時、「他社より良い機械を持っている」ことより、「良い取引先を知っている」方が、大きいのではないでしょうか?

これって、人間も一緒ですよね。バブル時代の価値観は、
・ 青山に住んで、ポルシェに乗って(有形資産)
・ 東大を出て、一流企業に勤務して(知的財産)
が、価値の源泉だったのが、今では、そんなことどうでも良くて、一番大事なのは

・その人の性格や人との繋がり (知的資産)
になりました。
いささか強引ではありますが、企業も同じだと考えると判り易いと思います。

2. では、具体的には何でしょうか?

一般的には、

・人的資産:社員のノウハウ、経験、モチベーション等

・構造資産:企業の文化、仕事のプロセス(会社固有の)等

・関係資産:ブランド、顧客満足度、対外関係等
とされていますが、あまり面倒に考えず、「自社の強みは何か?(目に見えない良い所は何か?)」を探してみましょうと言うことで、「仁義なき戦い」風に言えば「わしゃーこれで何10年も飯食っとるんで!判っとろうが、のう!」の「これ」に相当します。
「これ」の内容は、企業にとって様々です。
例えば、商店や飲食店なら、店主の愛想の良さ、とか店員に可愛い女の子がいるとか(人的資産)、店に清潔感があるとか、勘定が早く客を待たせないとか(構造資産)、XX社の仕入れ担当者と懇意にしているとか、長年浮気しない客を掴んでいるとか(関係資産)、そう言ったものが、建前とは別の会社が生き残る真の要因なのかも知れません。

この様な資産は、会社の決算上の資産にならないので、社長自身があまり気に留めないことが多いのではないかと思います。
でも、これが生き残りの真の要因であるとしたら、この要因が逃げて行かないような対策を講じることが必要ですし、加えて、この要因を更に伸ばして、企業の成長を図ることが可能になるかも知れません。

中小企業診断士が診断を行う場合、先ずSWOT分析を行います。S=強み、W=弱み(の内部環境)、O=機会、T=脅威(の外部環境)の分析ですが、この「強み」=知的資産と考えてよさそうです。また、それが、他社との差別化の要因となります。

3. 知的資産の認識

a)  まず必要なのは、企業が持っている知的資産(「強み」)が何であるか、を振返って分析してみることです。忙しい社長サンは、そんなヒマなことを考える習慣がないと思いますが、でも、一度A4一枚に思いつくままにいくつでも書き出してみてください。

b)  次に、その「強み」が、どんな状態にあるか(ほっておいても大丈夫、継続できるか? そうでもないか?)、それを伸ばすことによって企業の成長に繋がるか?
を考えます。

c)   中小企業の場合は、その「強み」が社長個人や特定の社員に帰属している可能性が高いです。社長が引退したり、特定の社員が辞めたらどうなるのか?を考えます。
そうなると、強みを社内で共有化しておくことが必要となります。

4.知的資産の発信先

「強み」の取扱ですが、逃げていくのを防いだり、強化するためには、それを発信・共有化することが必要になります。それによって「強み」が主観的なものから客観的なものに変わります。
発信先は、「強み」の内容と目的によって異なります。

・社内への発信:

「強み」が企業価値の源泉なら、社員間で共有して、会社全体で活かすことになります。特に、事業継承の時期が迫っている場合や、特定の社員だけがその「強み」を持っている場合は、その社員が辞めたら「強み」が無くなるので、非常に重要です。

・取引先への発信:

取引先に「他社と何が違うのか」を積極的にアピールして理解して貰い、より良い取引条件を獲得します。昔「プロポーズ大作戦」と言うTV番組があって、男の子が女の子にプロポーズする時に、司会の西川きよしが、男性に向かって「付き合うとどんな良いことがあるのか」を彼女に対して説明するように求めます。すると男性は、「ゴルフを教えてあげるので、うまくなれる」とか何とか、一生懸命に自分の「強み」をアピールしますが、それと全く同じです。取引先を惹きつけるためには、自分の会社と取引すればどんなメリットがあるかを相手に積極的に伝えることです。

5. 知的資産を業績に結び付ける

知的資産(「強み」)を全社で共有して、業務に活かすには具体的なアクションが必要です。これをKPF(Key Performance Factor)と言います。

例えば、飲食店で清潔感が「強み」だとします。すると、KPFは、例えば、一日に何回トイレを点検・掃除したか? 客がテーブルを離れた後、どれぐらい早く食器を片付けたか等を実践して、その結果を記録します。その結果の改善状況と企業の業績の伸びの相関関係を見て、そのKPIが正しかったかどうかを判断。直接関係が無い様であれば、別のKPIを設定する様にします。

6.「知的資産経営」とは

「知的資産」そのものは、売買できるものでもなく、価値はありません(知的財産は別でしょうが・・・)。それを活かした経営が価値を生むことになります。企業が保有する知的資産を正確に把握し、適切に管理運用して、企業の価値向上に役立てることです。どの企業も人間と同様に「強み」がある筈です。その「強み」を「見える化」して、関係者で共有することによって、企業経営に活かして、他社との差別化を図り、生き残ることが求められています。

中小企業診断士は、この分野のスペシャリストです。建前だけでなく実効性のあるご支援を行っていきたいと考えています。

モンゴル料理店再訪(2011年10月)

2月にお話を伺ったモンゴル料理店チンギスハーンを再訪。経営者のスーホさんにお話を伺いました。3月の震災後数か月は客足が途絶え、家賃を初めとする経費だけが出ていく状況になり閉店も考えそうです。

でも、常連客からは続けて欲しいとの要請が強く、現在は歌舞伎町に移転してお店を継続しています。

民族衣装に着替えて食事するスタイルは変わらず、スーホさんとの会話も楽しめるので、同行した仲間もとても喜んでいました。このようなオンリーワン店は、ぜひ頑張って欲しいと思います。

中小企業 国際ビジネスセミナー 2011年10月8日

10月8日に板橋区 大山ハッピーロード商店街 ハロープラザにて中小企業の国際ビジネスセミナーを開催しました。講師には、機械振興協会経済研究所 山本聡氏および韓国テクノマート九州支社長 今泉宏氏をお迎えしました。

山本講師からは、ものづくり企業の国際展開の成功要因について、足で稼いだ豊富な情報と細かな分析に基づく講演、今泉講師からは九州を中心とした長年の日韓人材交流の実績と成果について講演頂き、参加者よりは、「とても役に立った」「目から鱗が落ちた(ホント?)」と評価を頂戴しました。

25人程度の小規模セミナーでしたが、中小企業診断士だけでなく企業経営者の方も参加され、セミナー後の懇親会では、早速商談が始まるなど大変盛り上がりました。

今後も、このようなセミナーを継続していきたいと考えています。

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外国人起業者との懇談 (2011年7月)

CCBEBECECCA4C0DFC4EA2052月のモンゴル料理店以降もチュニジア料理店、エチオピア料理店と各月毎に外国人飲食店経営者の話を聞く会を催しており今回は、南青山のトルコ料理店を訪問しました。

ベリーダンスショーのアトラクションやトルコ語・トルコ文化の普及に熱心なお店です。

経営者のブルさん(トルコ サフランボル出身)によると、

・トルコ料理はまだ日本では認知度が低く一般的でないため集客が課題、

・家賃等運営コストが高い(外国人場合、貸し手との交渉が不利)との事でした。

トルコ料理は世界3大料理と言われる程で、ベリーダンスは客も参加で楽しめますし、何より都内にいながら食を通じた異文化交流が可能です。

ぜひ頑張って欲しいと思います。

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「思いをカタチに復興支援!茨城フェア」に参加 2011年7月6日

経済産業省関東経済局とNPO農商工連携サポートセンターの共催による「思いをカタチに復興支援!茨城フェア」に仲間の中小企業診断士と共に参加しました(新市場創造に関する研究会で、お世話になっているご縁です)。

震災による被災と原発の影響により茨城の食や観光は大変厳しい状況にある中、茨城を応援しようと言うテーマで、同県の産品の青空(星空?)市と食材を使ったバイキング形式の夕食会です。

料理は、鮎の唐揚げ、「ローズポーク(茨城のブランド豚だそうです)」のソテー、奥久慈シャモの蕎麦など、おいしいものばかり。バイキングなので食べ過ぎてしまいました。

主催の経済局から部長さん・課長さんなども参加されており、このフェアに対する同局の意気込みを感じることが出来ました。

こんな形ででも、復興に 少しでもお役に立つことが出来ればよかったと思います。

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城北支会国際部「国際ビジネスセミナー」2011年2月26日

昨年7月に引続き第2回目の国際ビジネスセミナーを開催し、診断士約30名が参加しました。

今回は、グレープサウンズ株式会社菊池社長、株式会社ナレッジ&ワークス堤社長に其々1時間の講演をお願いしました。

菊池社長は、中小企業の生産拠点海外移設のコンサルティング、カリフォルニアのワイナリーの日本代表の後、宮城県でワインの輸入販売の会社を経営されています。

堤社長は、リクルート勤務の後、6年前に同社を設立し、主に中国の人材の日本企業への紹介、研修業務を行っておられます。

両社長が語られた内容は、

・ビジネスの目的を明確にすること(初めに海外進出ありきでなく、目的があって海外進出する)

・目的に合った現地パートナーの発掘/目的に合った進出先(国)の選定

・日本での成功体験に拘らない/ 自身で現地を見て自ら理解する努力

プラス、目的達成に向けての「熱さ!」でした。

全く異なる業態で、また、事前の打合無の講演でしたが、両社長のお話に共通する点がとても多かったことが印象的でした。

今回も、実践現場から多くのことを学べる有意義なセミナーとなりました。

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外国人起業者との懇談(2011年2月)

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派手な衣装で失礼します。

ここは都内のモンゴル料理レストランです。

診断士の有志が集まり、経営者のスーホさん(内モンゴル出身)に、日本での開業の経緯、お店の運営上の留意点 等についてお話をお伺いしました。ポイントは、店が都心にあって家賃が高いので、毎日の費用を極力抑えながら、売上を伸ばしていくことで、そのための様々な工夫について流暢な日本語で説明してくださいました。

これは「CVP分析」と呼ばれるもので、「固定費が高止まりしている場合は、変動費率を下げることにより、限界利益を向上させる」ことが必要なのですが、そんな理屈抜きに現場での実践から学ばせて頂くことが多いです。

モンゴル料理は美味しいし、大草原のお姫様、王子様になって楽しむことが出来ますよ!

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