~その7~は、こちらから!

ヤッてる、って! それがレディに向って言う言葉? 言葉の使い方をゼロから勉強し直しといで、と言いたいとこだけど、まっここは気を取り直して。
「あの、本気で仰ってます? これまでの判例から見たら……」
「たかが離婚裁判じゃないですか。浮気の認定なんて、どこまで厳密にやるもんだか知れたもんじゃない」
知らないのはあんただけだよ!という言葉を、私はかろうじて飲み込んだ。浮気の慰謝料の認定は、損害賠償請求として厳密な立証が要求される。オニイさん、離婚事件を甘く見てたら大ケガするよ。
そもそも、ラブホはそういう目的のための場所だ。そんなところに一緒に入ったら、もうそれだけで九分九厘肉体関係が認められる。それを覆すためには、説得力のある反証を示す事が絶対に必要なの。口裏合わせなんかで、誰が納得するもんですか。まともな弁護士さんなら、そんな事常識だと思うんだけど。
元橋センセイ、おそらく離婚事件に携わった事なんてほとんどないんだろうなあ。ひょっとすると初めてかも。それなら、せめてこれまでの類似事件の判例ぐらい、目を通しておいたらどうなのよ、まったく。4年間、マニュアル化されたサラ金の過払い金返還請求ばっかりやってきて、主張立証責任だとか要件事実だとかに悩み苦しみぬいた経験なんてないんでしょ、きっと。有無を言わさぬあれだけの報告書があるのに、疑惑の2人が何言ったって通用する訳ないじゃん。
「大石さんも、その方針を了解されてるんですね」
「もちろんです。彼とは高校時代から慶応で机を並べた仲でしてね。つーと言えばかーの間柄なんですよ」
はあ。なるほど、そういうご関係。このセンセ、家事事件ぐらいと甘く見て、ノリで悪友に安請け合いしちゃったんだろうな。それにしたって、この品のない口ぶり、お育ちがいいとはとても思えないんだけど。
まあ、不倫の慰謝料なんて、せいぜい300万円。コイツらにはさほどの痛手じゃないのかも。だから、多少無茶なやり方しても、もしうまく行ったら御の字ってなところなんだろうな。でも、アルバイトの子猫ちゃんの方は、さほど裕福だとはとても思えない。
私は、内心秘かにつぶやいた。
こんなゲスどもの好き放題にさせてなるもんか。不肖久我今日子、義によりて成敗させて頂きますわ!

つづく(^.^)/~~~